2013年3月4日月曜日

バスなどの交通機関の利用の仕方(その1)

ロシアの都市交通は、バス・トロリーバス・路面電車・マルシュルートカ(マルシルートカ)・地下鉄・電車・タクシーがあります。

ロシアは、日本のように自転車を日常の乗り物として使えるような都市整備が行われていないので、通勤通学や買い物などに自転車を利用することは出来ません。徒歩で行ける範囲は徒歩で、それ以上の距離は上記の交通機関を利用することになります。
(自転車はスポーツ・レジャー用品としてのみ用いられています。ゆえに自転車屋で売られている自転車はスポーツタイプのみです(ママチャリのような形の自転車は無い)。普段は室内に保管します。駐輪場というものがどこにも存在しないので、外に放置していると間違いなく盗難されます。)

今回は、バス・トロリーバス・路面電車・マルシュルートカの利用方法について説明します。それ以外の交通機関についてはその2以降で。

言葉
交通 транспорт
バス автобус
トロリーバス троллейбус
路面電車 трамвай
マルシュルートカ маршрутка (正式名称は маршрутное такси)
停留所 остановка


ロシアの停留所はだいたい屋根付きなので、バス停を探す場合はこういうのを目標にすると良いでしょう。



それぞれの特徴

路面電車:
これらの中では一番遅い。急いでいるときは乗らない方が良いです。線路と道路が分かれている場合と共有している場合があります。道路と分かれていて、道路が渋滞しているときはバスなどより速いですが、まれです。路面電車以外の交通手段がないときか、時間に余裕がある時だけ利用しましょう。
路面電車は停留所に確実に止まります。逆に、停留所以外では手を上げても絶対に止まってくれません。距離に関わらず定額です。料金は車掌のおばさんに払います。
道路と共有している部分で渋滞や交通事故が発生すると、その部分で一時的に運休してしまいます。そうなると停留所以外の場所でドアが開き、渋滞・事故処理が終わるまで止まったままとなります。

トロリーバス:
路面電車の次に遅いです。路面電車同様、各停停車です。手を上げると止まってくれるかどうかは分かりませんが、多分止まってくれません。距離に関わらず定額です。料金は車掌のおばさんに払います。

バス:
自家用車やマルシュルートカと比べると遅いですが、渋滞にはまらなければそんなにストレスにはなりません。やはり各停停車です。手を上げると、停留所以外でもまれに止まってくれますが、基本的には止まってくれません。距離に関わらず定額です。料金は車掌のおばさんに払います。

マルシュルートカ:
ロシアにのみ存在する、ちょっと変わったバスです。「定路タクシー」などという訳語が用いられることもありますし、正式名称も「такси」という言葉が用いられていますが、タクシーとは全く違います。現在はほぼバスと同じだと思って大丈夫です。
マルシュルートカは、基本的にはバスと同じ停留所に止まります。ただし、その停留所で降りる人がいない場合は停留所でも手を上げないと止まってくれません。そのかわり、バスより融通が利いて、停留所以外でも手を上げれば大抵止まってくれますし、停留所以外の場所でも降ろして欲しいとお願いすれば降ろしてもらえることがあります(法律では停留所以外での乗り降りは禁止となっていて、車内にも停留所のみ乗り降り可能と掲示されていますが)。
料金は基本的には距離に関わらず定額ですが、町を抜けて遠くまで走るマルシュルートカの場合は料金が2~4段階に分かれていることがあります。車内に必ず料金が掲示されているので、それを見て払いましょう(通常は、町の中だけの移動なら一番安い料金で均一になっているはずです)。料金は運転手に直接手渡ししますが、車掌のおばさんがいる場合もあります。


バスとマルシュルートカの見かけ上の差
以前は見た目ではっきり区別できました。
大きいバス及びソ連時代の超古くさい型のやや小さめのバスはバスで、黄色いワゴン車はマルシュルートカでした。しかし、最近はマイクロバスのタイプのバスとマルシュルートカが混在しています。非ワゴン車のマイクロバスはどっちか見分けが付きません。なお、路線数はマルシュルートカがバスの10倍ぐらいあります。バスが走るはずのない路線なら100%マルシュルートカです。

実際問題としては、料金は同じかマルシュルートカの方がちょっとだけ高いだけですので、違いが区別できなくても特に問題は無かったりします。


これぐらい大きいのは100%バス。

このタイプは Газель という。100%マルシュルートカ。


ロシアの古いタイプのバス。通常バス。

最近よくある小型バス。バスの場合とマルシュルートカの場合がある。


ワゴン車で小さめのマルシュルートカは立ち乗り不可です(満席でも立ち乗りさせる運転手がたまにいますが・・・)。大きめのワゴン車で手すりが完備されていて立つスペースがあるマルシュルートカは満席でも立ち乗りOKです。バスは勿論立ち乗りOK。
マルシュルートカは、運転手のとなりの座席にも座ることが出来ます。その席に座った場合はシートベルトを必ず締めなければなりません。面倒なのでそこしか席がない場合だけ座った方が良いです。


利用の仕方と必要なロシア語

バスやマルシュルートカを止めるときは手を真横に水平に上げます。日本のように真上にあげても止まってくれるかもしれませんが、誰もそういう風には手を上げないので笑われるかも・・・。

バスは自動ドアです。マルシュルートカは自動ドアと自分で開けるタイプと両方あり、比率は半々です。自動ドアだと気づかず、自分で開けようとしたり閉めようとしたりすると手を挟んで大けがをするかもしれませんので、自動かどうか、常に注意する必要があります

乗ったらまず座席に座りましょう。それからすぐに料金を用意します。(停留所で財布をひろげて予めお金を用意する、というのは止めましょう。道ばたで財布を取り出してひろげるのは危険行為です! 必ず、車内で料金を用意しましょう。)

料金は定額で、どの交通機関を利用しても一律なので質問する機会は滅多にないと思いますが、いくらか聞くときは
Сколько?
とだけ言えばいいです。
ロシア語で乗車は проезд というので、「乗車賃はいくらか」と聞くなら Сколько за проезд? となります。

料金を直接運転手または車掌さんに渡すときは
Возьмите, (пожалуйста).
と言います。
пожалуйста を付けて言った方が丁寧ですが、面倒だったら言わなくても大丈夫。

マルシュルートカで運転手より離れた位置に座った場合や、バスの中で非常に混雑していて車掌さんが身動き取れないような場合は、バケツリレー方式で料金を他の人の手を通じて渡してもらうことになります。その場合は、
Передайте, пожалуйста.
と言います。

料金はお釣りが出ないように渡すのが理想的ですが、小銭がない場合は50ルーブルや100ルーブル紙幣を渡すこともあるでしょう。小銭も100ルーブルすらもない場合は500ルーブル紙幣を渡しても大丈夫ですが、なるべくよした方が良いです。1000ルーブル紙幣で支払うのは絶対に止めた方が良いです。最大100ルーブル、と心がけましょう。

マルシュルートカに限った話ですが、複数の人が同時に乗った場合、お釣りが必要な人が複数いる場合は運転手さんも混乱してしまうので1人ずつ払った方が良いですが、お釣りが必要な人が1人だけのような場合は、運転手の近くにいる人がみんなのお金を受け取って、お釣りの部分だけ先にお釣りが必要な人に渡して残りを運転手に渡す、という方式がよく行われます。
例えば、
乗車料金が15ルーブル、乗客Aが15ルーブル支払い、乗客Bが50ルーブルで支払いという場合、

乗客Aは乗客Bから50ルーブル受け取って15ルーブルを返し、「2人分」と言って運転手に50ルーブル渡し、運転手からお釣りを20ルーブルもらって、それを乗客Bに渡す。

運転手の近くに座ると、このようなお金の受け渡し担当者になるので、このようなやりとりに不慣れなうちは、運転手の近くには座らないようにした方が良いでしょう。そこしか座る場所がない場合は仕方が無いので頑張りましょう。

2人分と言って料金を渡す場合、
Два.
Два возьмите.
Возьмите два.
などと言うだけで大丈夫です。3人分なら Три とか Возьмите три ですね。
ちゃんとした文法を使って言う場合は、
Возьмите, пожалуйста, за двоих. (3人分なら за троих)
となります。

料金が15ルーブルの区間と20ルーブルの区間があって、それぞれを1人分と2人分支払う場合、
Один пятнадцать, два двадцать.
Пятнадцать один, двадцать два (за двоих).
などと言います。ちょっと難しいですが、数字だけ言えばいいので、焦らず伝えましょう。

料金が区間別になっているのに気づかずに料金を手渡した場合、運転手から за сколько? とか Докуда? などと聞かれます。払うべき料金が分かっている場合は、その料金の数字を言えばいいですし、分からなかった場合は降りる停留所の名前を言えば大丈夫です。どっちも分からない場合はとりあえず掲示を見て安い料金を言っておけばいいでしょう。もしくは по городу と言えば大丈夫かも。高い方の料金は大抵町の外へ出る場合の割り増しですので。

お釣り無しで手渡すときは Без сдачи. と言うと親切です。複数人分渡すときは特に。

料金を支払ったら、かわりに切符をもらいます。マルシュルートカでも切符は必ず乗客に渡すように法律で決まっていますが、たまに切符を渡さない運転手がいます。その場合は何も言わずにじっとしていましょう。わざわざ「切符をくれ」と要求する必要はありません。逆に、切符を運転手が渡そうとしているのに気づかずぼーっとしていると、 Бильет! とか Возьмите бильет! などと声をかけられます。

もらった切符はバス等を降りるまでは手で持っていた方が良いです(私は人差し指と中指にはさんでいます)。めったに有りませんが(1年に1回遭遇するかしないかという頻度)、車掌さんが切符を拝見して回ることがあるためです。
切符はバス等から降りたらさっさと捨てましょう。持っていても仕方がありませんので。停留所や道ばたにくずかごが沢山設置されているので、捨てる場所には困らないと思います。


乗車中

マルシュルートカで運転手の横以外に座席の空きがない場合、 Садитесь спереди! とか Перейдите вперед! などと言われることがあります。

マルシュルートカで車内に座席の余裕がなさそうなとき、よく「空いてる席がありますか」と聞かれることがあります。
Есть места?
место (単数)ではなく複数形で聞かれるのがポイント。
無いときは Нет.
1席有る場合は Одно. (Одно место.)
2席有る場合は Два.
数を言わずに Есть とだけ言っても勿論OKです。


降りるとき

路面電車・トロリーバス・バスは各停停車です。ロシアでは停留所に着く前にドアの前に移動する必要があります。マルシュルートカの場合は、運転手に止まるように伝えないと止まってくれませんが、予めドアの前に移動する必要はありません(移動しても良い)。
マルシュルートカには座席の近くにブザーが付いている場合があります。ブザーがある場合は降りる予定の停留所に近づいたらブザーを押しましょう。短く押すと運転手が気づかない場合もあるので、2秒以上押し続けるのがお勧めです。
ブザーがない場合や、ブザーが手の届かない場所にある場合は、運転手に直接声をかけます。
「停留所で止めて下さい」
Остановите на (следующей) остановке, пожалуйста.
結構長いフレーズですので、面倒だったら省略して大丈夫です。
Остановите. だけでもいいですし、 На остановке. だけでも大丈夫です。それぞれに пожалуйста は文末じゃなく、文頭や文中に付けても良いですし、付けなくても良いです。 следующей ははっきりと「次の」と伝えたい場合だけ付け加えます。もちろん、 На следующей. と、 остановке を省略して言っても大丈夫です。ロシア語はどんな言い方でも通じればOK。自由です。停留所の名前が分かっている場合は остановке のかわりに停留所名を言ってもいいです。特に、人の乗り降りが極端に少ないような停留所の場合、名前で指示しないとそこを素通りしてもう一つ先の停留所まで行ってしまう場合もまれにあります。停留所の名前を言う場合は、格変化させる必要な無いようです。例えば、 красная площадь という停留所を指定する場合、
На красней площади と言う必要はなく、 Красная площадь остановите. と言えば大丈夫です。

バスや大型のマルシュルートカだと、ドアが前後に付いている場合があります。通常は前のドアだけが開閉されますが、混雑時は両方開閉される場合もあります。後ろのドアに立っていて、運転手が後ろのドアを開けなかった場合は、
Откройте заднюю дверь!
と叫ぶ必要があります。

バス等で混雑していてドアの近くに人が多く立っている場合、よく「あなたは次で降りますか?」と聞かれます。
Вы выходите?
降りる準備中の状態は、「出る」という動詞の不完了体が用いられる、というのが面白いですね。 Вы выйдете? とは言いませんので注意して下さい。
Вы выходите? と尋ねられたら普通に Да. または Нет. とだけ言えば大丈夫です。

マルシュルートカで、運転手が「降りる人いますか?」と尋ねることもあります。
Выходите?
たまに(というかしょっちゅう)、Выходим! (降りましょう!) という運転手がいます。
聞かれたときは、例えブザーを押した後だったり声をかけた後だったりしても、自分が降りる停留所の場合は大声で ДА! と返事をしましょう。

マルシュルートカで、停留所以外の場所で降りたいときは、
次の交差点で降ろしてもらえませんか? Можно выйти на следующем перекрестке?
信号で止めてもらえませんか? Вы не могли бы остановить на светофоре?
などというフレーズが使えます。
信号が変わったばかりの場面などなら、
ここで降りても大丈夫ですか? Здесь можно выйти?
開けて頂けませんか? Не могли бы открывать?
という言い方もできますね。
ただし先程も書いた通り、停留所以外での乗り降りは基本禁止ですので、こういうお願いをするときは場の雰囲気を読んでお願いしましょう。


その他
運転手がお釣りを渡し忘れている場合、
お釣りいいですか! Можно сдачу? (Сдачу можно?)
お釣りを下さい! Отдайте сдачу!

バスや路面電車の車内放送
ドアが閉まります。ご注意下さい。 Осторожно. Двери закрываются.
次の停留所は○○です。 Следующая остановка - ○○.

料金の車内表示: Проезд 15 рублей.

車掌さんによる料金支払いの促し: Проезд оплачиваем!

行き先が終点までではなく、途中の停留所までの場合: До (停留所名)

路面電車がなんらかの理由で別の路線経由に変更した場合: Через (通りの名前)

路面電車が車庫行きで乗れない場合: Депо!

降りたいのに運転手がドアを閉めようとしている場合。
「降ります!」 Сейчас я выхожу!

運転手がうっかり停留所で止まるのを忘れてしまったとき。
Здесь остановите!!!

間違えて降りる予定ではない停留所の前でブザーを押してしまったとき: 何も言わずに放置(他に降りる人がいるかもしれない)。それで停留所で止まって誰も乗り降りしなかった場合、運転手が Не выходите? と聞いてくるので нет と答える。

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